オヒョウ風倒

2021年1月22日2022年11月7日のコラムでご紹介した、智頭町芦津地区の天然林内に生育していた日本最大級のオヒョウは、今年(2023年)8月15日に来襲した台風の影響で、ついに倒壊してしまいました。

以下に掲示する3枚の写真は2020年7~8月に撮影した倒壊前の健全な状態のオヒョウです。

写真1:2020年7月31日(倒壊前)

写真2:2020年8月15日(倒壊前)

写真3:2020年8月15日(倒壊前)

続く3枚の写真は、2023年9月10日に撮影した倒壊後の状況です。

写真4:2023年9月10日(倒壊後)

写真5:2023年9月10日(倒壊後)

写真5:2023年9月10日(倒壊後)

9月7日にアルピニスト・加藤修さんから情報をいただき、単独で9月10日にオヒョウを調査しました。このオヒョウは、前回のコラムでは樹高31.5m、胸高周囲5.46m(直径1.74m)と紹介していました。倒木の樹高を改めて巻尺で実測したところ32mでした。2020年の地上からの推定値とほぼ同じでしたから、当時、かなり正確に計測していたことになります。

幹は地上2~7mで斜めに破断しており、破断部位の上部は地上に倒伏しています。また心材腐朽が顕著でした。地上2mあたりの腐朽していない木部の厚さは4~8cm程度で極めて薄く、内部はガランドウになっていました。

写真7:2023年9月10日・破断した木部縦断面
破断した木部縦断面

幹から萌芽し成長したとみられる直径約50㎝と22cmの2本のヒコバエが生存していますので、これからも個体としては生き続けるでしょう。ただし、樹皮はシカの食害を受けており、木部が露出して心材腐朽が進行していますので、長期間の生存は期待できないかもしれません。

余談ながら、オヒョウの生育している谷のトチノキは、今年は豊作だった模様です。

写真8:2023年9月10日・周囲のトチノキから落下した果実
周囲のトチノキから落下した果実

山本福壽

智頭の山人塾 塾長。鳥取大学乾燥地研究センター・元特任教授。農学博士。2016 年より鳥取県智頭町に移住し、塾長に就任。

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