とっとり森林・林業振興ビジョン(案)について
2021年2月に、鳥取県により「とっとり森林・林業振興ビジョン(案)」が公開され、一般の意見を求める旨の案内がありました。
そこで以下のような私見を県に送りました。県がどのように反応されるかわかりませんが、結果を楽しみにしているところです。なお、SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
(送ったパブリックコメントには、写真等は添付していません。本記事はパブリックコメントを元に、ホームページ記載用に編集したものです)
収穫間伐から皆伐へと進んでいく人工林の管理では、いよいよ更新という命題が中心となってきました。一方、山を裸にするような大面積皆伐による人工造林は極めて困難と予想されます。
しかし、大規模事業体が効率と収益のみを重視して山をいじりますと、九州大学の吉田茂二郎さんらが進めてきた九州での「再造林放棄地の拡大」に関する一連の研究(例えば日本森林学会誌93,280-287, 2011)でも明らかなように、再造林放棄地、いわゆるヤブが拡大するばかりになる可能性が大です。
ヤブ化した山は、あるいは天然更新地と呼ばれてうやむやにされてしまうことになるかもしれません。
ここで大きな更新阻害要因となるのがシカによる食害です。拡大造林時代の鳥取では、シカの問題は皆無でしたが、兵庫県に連なる智頭町では極めて深刻です。今では鳥取大学演習林のある岡山県真庭市の蒜山や鳥取県の日南町でもシカが目撃されるなど、じわじわと西部に広がっております。これはカシノナガキクイムシによるナラ枯れよりもはるかに大きな問題となっていくでしょう。
これらの問題に直面している鳥取県の林業は、生態学的な思考を基盤にして、いかに更新と保育管理を進めていくか、が大きな課題でありますが、皆さんは「そんなことは百も承知」だと存じます。
そこでいくつか気が付いたところを以下に書いてみました。意を尽くせませんが、ご一考いただければ幸いに存じます。
以上
「智頭ノ森ノ学ビ舎」の活動(國岡将平氏)
コウヨウザン(米田亜沙美氏)
蒜山のナラ枯れ(20年10月)